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Blog:ライフサイエンス/体外診断の自動化装置開発・製造における パートナーとの協業 vs 自社開発

Partnering vs DIY for automated laboratory instrument development

Blog:ライフサイエンス/体外診断の自動化装置開発・製造における パートナーとの協業 vs 自社開発

ライフサイエンス/体外診断の多機能搭載自動化装置を予定通りに市場に投入するには、開発の全段階において綿密な計画と的を絞った取り組みが必要です。プロジェクトの開始時に、開発リスクを評価し、それが機器の市場投入に要する期間にどのような影響を与えるかを考慮することが重要です。特に経験が必要な自動液体処理については、経験のあるOEMパートナー企業(外部の受託企業)と提携する、あるいは、自社で装置を開発するかについても慎重に評価する必要があります。専門知識や経験が十分でないOEMパートナーと契約した場合、プロジェクトが期待通りに進むことは難しく、最初から最後まで問題が生じることになります。理想的なOEMパートナーとの協業は、プロジェクト管理に関する貴社の負担を最小限に抑え、社内リソースの効率的な活用を促し、貴社にとっての開発リスクを低減します。OEMパートナーと協業するか、自社で開発するかという重要な決定をする前に、考慮すべき事項がいくつかあります。

自社開発か、OEMパートナーとの協業か:どちらが適切でしょうか?

この質問は些細なことに思えるかもしれませんが、この選択は貴社の機器の信頼性と品質に影響を与えます。貴社のブランドや評判、さらには財務状況に影響を与える可能性があるのです。 この選択は長期的な影響をもたらします。内製化と外注化の緻密な分析(Make-or-buy analysis)は、貴社の機器開発の結果に大きな影響を与えます。 それは、社内リソースを他のプロジェクトに解放し、長期的なコストを削減、最終的に貴社の製品をより早く市場に投入するのに役立ちます。

社内リソース:必要なものは揃っていますか?

ゲノミクス、血液学、分析化学などの高度な自動液体処理機器の開発では、コンセプト、設計、開発の各段階において、ワークフローに関する洞察力、エンジニアリングの専門知識、製造経験が必要となります。 貴社には、テストシーケンスやアッセイの仕様に関する深い知識と同様に、コンセプトを効率的で信頼性の高い自動化機器に変換する経験、そしてエンジニアリングの経験もございますでしょうか?機械エンジニア、電気エンジニア、ソフトウェアエンジニア、製造エンジニア、品質エンジニアへの相談は容易にできる環境でしょうか?また、設計から製造への引継ぎについても考える必要があります。成功する製品開発チームには、当然ながら大変多くの役割があり、もし、そのうちの1つが欠けていたり、不十分であったりすると、プロセス全体に悪影響が及びます。

前進し、リスクヘッジする

たとえ社内でのプロジェクト着手を選択した場合でも、デューデリジェンスの一環として、OEMパートナーの機器設計者と話す時間を割く価値があります。潜在的なOEMパートナーとコミュニケーションをとる、彼らがプロジェクトに何を提供できるか、そしてより重要なこととして、何を提供できないかを知ることができます。彼らの開発プロセス、考慮すべき重要な点、合理化できる点について協議してください。考えられる「落とし穴」について協議し、コンサルティングの意思があるかを確認してください。こうしたコミュニケーションは、おそらく貴社のプロセスを再確認するよい機会にもなります。そして、プロセス開始後でも、プロジェクトの完遂にはOEMパートナーの参加が必要だと感じた場合、すでにOEMパートナーとのつながりが確立され、初期評価も完了しているところからパートナーシップを開始できます。

*Due Diligence; 投資の対象の財務・法務・人事等のリスクを事前に調査・分析するプロセス

OEMパートナー企業との提携:何を基準に選ぶか

自動化コンポーネントのサプライヤーやOEMパートナーが、顧客が期待する信頼性と性能を備えた自動化液体処理ソリューションを提供できるかどうか、どうすれば確かめられるでしょうか? 液体処理自動化の専門知識、規制に適合した製造施設とプロセス、そして組込み用(モジュール式)コンポーネントを製品ラインナップに持つOEMパートナーは、高性能製品をできるだけ早く市場に投入するお手伝いをすることができます。いくつかの質問をすることで、適格なパートナー候補を絞り込むことができます。質問のリストについては、「Six questions to ask before choosing liquid handling robotic components for faster time to market」(英語)をお読みください。

パートナーリングは「協業」です

OEMパートナーが貴社の専門知識を十分に理解し、尊重できることが、プロジェクトの成功には不可欠です。OEMパートナーは市場や貴社の関連分野において長年の経験を有しているものの、貴社の顧客やそのニーズ、貴社のアプリケーションに関しては、深い知識を持っているわけではありません。貴社とOEMパートナーが「私たちは一緒に取り組んでいる」という意識を育むことが不可欠です。そのためには、OEMパートナーは、開発プロセスや機器の仕様策定の段階で、貴社と相談し、貴社の意見を取り入れる必要があります。そのためには、定期的に、明確かつ効果的な双方向のコミュニケーションを行う必要があります。OEMパートナーと良好なコミュニケーションを確立できたら、次にOEMパートナーに期待するメリットは何でしょうか?

OEMパートナーに期待すべきこと

リスクの軽減

多くのリソースを投入するプロジェクトにおいて、リスク分散は欠かせない要素です。プロジェクトを社内で行う最大のリスクは、プロジェクトが遅延する可能性のある領域、あるいはさらに悪い場合には失敗する可能性のある領域を特定することが難しいことです。信頼のおける外部パートナーが異なる視点からプロジェクトを監視することは、潜在的な問題を容易に、そして見逃してしまう可能性のある問題を早期に発見できる貴重なセーフティネットとなります。

規制に関する専門知識

規制要件やガイドラインは、ますます複雑化し、常に変化しています。そのため、安全性と規制遵守を確保するため試験要件が追加され、製品を市場に投入する時期に予期せぬ遅れをもたらす場合があります。貴社のOEMパートナーが、該当する規制やコンプライアンスガイドラインに関する経験と深い知識を有していることは、この急な変更を回避するためにも重要です。経験豊富なOEMパートナーであれば、貴社の機器およびその構成部品がISOの厳しい要件、安全基準、化学品規制(RoHS、REACH)、適切な設計および文書化要件をすべて満たしていることを事前に確認し、リスクを軽減し、承認を合理化し、予定通りの市場投入を支援してくれます。

補完的な専門知識

優れたOEMパートナーは、貴社のチームの不得手な分野に関して知識を補完できるはずです。自動化、製品ライフサイクル管理、規制要件など、機器の提供に不可欠な多くの詳細事項について、OEMパートナーの支援を期待できます。これらの専門知識は、優れたコミュニケーション能力と経験を伴っている必要があります。OEMパートナーがプロジェクトのあらゆる側面について、貴社および貴社のチームが理解しやすい方法で十分に説明できることが重要です。開発を始める前に、専門知識だけでなく、コミュニケーションにおいても信頼できることが必要です。

ソフトウェア開発

開発プロセス全体に対して包括的なアプローチを取ることは重要です。当然、ハードウェアとアプリケーションのワークフローに重点を置きますが、ソフトウェアも疎かにしてはいけません。優れたソフトウェア開発は、一般的なコマンドを提供し、ワークフローの最適化や3Dビジュアライゼーションにも役立ちます。さまざまな作業テーブルのシナリオやワークフローのシーケンスを仮想的に作成できる機能があれば、反復のたびに物理的なプロトタイプでテストする必要性を最小限に抑え、時間、コスト、リソースを節約できます。TecanのMAPlinx™ソフトウェア開発ツールには、ロボット機能のプログラミングを容易にするための高度なロボット機能言語や、プログラマーが利用または修正するための検索が容易なロボット機能テンプレートなどの機能が備わっています。これにより、ゼロから作成する必要がなくなります。

業界のインサイトと開発済みのソリューション

OEMパートナーのすべてが、貴社の特定の応用分野を貴社と同程度に理解しているわけではありません。しかし、一部のOEMパートナーは、非常に類似した製品の開発に豊富な経験を有している可能性があり、その場合、は学習曲線を短縮できるでしょう。この知識を活用すれば、より優れた機器をより短い開発期間で製造し、より迅速に市場に投入することが可能になります。経験豊富なOEMパートナーは、ありがちな落とし穴を熟知しており、事前に開発済みのソリューションを保有している可能性が高いといえます。よい例として、TecanのCavro® Magni Flex 開発プラットフォームとAir Restriction Pipetting (空気制限分注テクノロジー;ARP)技術があります。 この技術は、幅広いピペッティング容量(1 µl~5 ml)を可能にし、用途の柔軟性を実現するために特別に設計されており、クロスコンタミネーションが懸念される用途では使い捨てチップを使用します。

開発時間の短縮

社内にエンジニアリングの専門知識があったとしても、完全な装置を構築するために必要なすべてのコンポーネントが揃っている可能性は低いでしょう。そのため、ゼロから構築するか、各コンポーネントの適格性評価と評価プロセスを完了させる必要があります。この場合、設計に重大な見落としが生じる可能性があるため、学習曲線が追加されます。これらは、貴社の製品の市場投入までの時間を遅らせることにもなります。この製品を市場に投入するために必要な追加リソースは、貴社が開発中の他のプロジェクトに悪影響を及ぼす可能性があります。理想的なアプローチは、貴社のコアコンピタンスに集中し、社内リソースが不足している分野で信頼のおける専門家と提携することです。今日の競争の激しい市場では、競合他社や革新的技術が貴社の製品を時代遅れにする前に新製品を投入できる時間は限られています。

TecanOEMサービスについて

お客様の次期プロジェクトにTecan OEMサービスがどのような貢献ができるか、ぜひ当社の担当者までお問合せください。

著者について

Claudio Bui

コンポーネントマーケティングチームのパートナーリングビジネス部門で、製品コンセプトの責任者を務める。 顧客の特定の要件を徹底的に分析し、それに基づいて新しいコンセプトや提案を開発することが、同チームの主な役割。 1990年に研究開発部門でコンポーネント開発を担当するテクニカルスタッフとして入社し、多数の小型ラボ用機器に携わる。 2005年にマーケティングチームに参加。

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